file22 職員数は驚愕の1000人超え!大病院のトップに登りつめた薬剤部長の働き方と給料を取材してみた
給料明細を聞いてみた
あなたのプロフィール教えて
薬剤師歴は何年目?→30年目
30年目になりました
性別→男
男
学歴教えて→私立薬科大学
公立中学→私立高校(偏差値65)→私立薬科大学(偏差値50)
職種と役職→薬剤部長
仕事内容は薬剤部の統括、院内の医薬品の適正管理。
病院薬剤師の薬剤部長
年収と副業分も→1200万
1200万
労働時間→週5日・1日12時間
週5日、1日だいたい12時間
副業はしているのか?→してない
していません
転職経験は?→ありません
ありません
世間に発信したい事とかある??
病院薬剤師はやりがいのある業務なので、薬剤師になる人はぜひ目指していただきたいと思っています。
給料と働き方取材してみた
なぜ今の仕事に?エピソードもあれば!
なぜ今の仕事に?エピソードもあれば!
大学受験の時に複数大学に受かったんですよ。
僕は普通の大学に行こうかと思ってたんですけど、父親が「資格が取れたほうがいいよ」という話をしてくれて。
当時、学費も2倍以上高かったんですけど、ちょっと親の負担もあるので、「それでほんとにいいのか?」って親に一応再確認したら、「いいよ」っていう話だったんで、薬学の道に進んだというのが最初の経緯です。
全然志は全くない状態でした。
なので卒業しても、実は全くそういう意識がなくて、それでとりあえず薬剤師の免許を取ったって感じです。
当時研修生の制度っていうのがあったんですね。各大学病院とか、大きい病院に研修生制度っていうのが。そこで無給だったんですけど薬剤師っていうのはどういうものかっていうのを一度卒業してから学んで、それからどういう薬剤師になろうかっていうのを考えようと思って、研修生制度の試験に応募して、4年生のときに。
で、合格して、4月から研修生として6ヶ月間働いたんですよね。
そしたら、たまたま今の職場で増員があるっていうことで、私を採用してくれたというのが経緯になってます。
そこから転職することなく努めてます。
薬剤部長の働き方について教えて
薬剤部長という事は薬剤師をまとめている管理職という認識で合ってる?日々の業務ってどんな事してるの?
実務としては、「医薬品安全管理責任者」というのを病院内で拝命してまして、病院内の医薬品が安全に使用されているとか、適正に使用されているっていうのを研修を行ったり、管理をしてます。
あとは病院内の主要な会議のほうで、薬剤関連に関して報告したり、逆に宿題をもらってそれに対して対応したりとか、そんなような感じでしょうか。
労働時間が長いみたいですけど?一番大変だった日は?
いや、昔に比べたらいい方だと思います笑
一番忙しかったときは、やっぱり新しく薬剤部内で業務を拡げるっていうときには結構力が必要で、そのときはもう日曜日の夜に出勤して、7日分の下着を持って、次の日曜日の朝帰ってくるみたいな。
だから、ほぼもう病院に泊まりきりで仕事をして、もう1ヶ月休みはそれ以外はないみたいな感じですかね(笑)
週に2回は病院に泊まって仕事しないと終わらないみたいな感じでした。家族にももう文句ばっかり言われましたね。子供の面倒見ないとか笑
一日のスケジュールは朝5時半ぐらいに起きて、大体7時半に出勤をしてて、夜の7時から8時の間に帰ってるような感じですね。
管理職になってからは、やはり自分の仕事のコントロールできるので、泊まったりすることはほぼないかな。
年に3回ぐらいトラブルが起きた時は泊まらないといけないですけども、それ以外は大体12時間ぐらい働けば帰れるような感じですね。
出世したい若者にアドバイスください
「いわゆる病院薬剤師として出世された」と思うのですが、「これから出世していきたい!」と思っている薬剤師は組織で評価されるようになるにはどうすればいいですか?
仕事を上から与えられたときに、とことん自分が納得するまでやる、やり切るっていうのが必要なのかなって感じはしています。
それをやったおかげで評価をいただけて、今のような状態になってるのかなというところはあるので、上司からいただける仕事を一生懸命やること。一生懸命やってプラスアルファのものを出すっていうんですかね。
一言えば十やるみたいなことができると、出世に近づくんじゃないかなって感じはしますね。
薬剤部って、僕が若いときって閉鎖的な組織だったんですね。薬剤部だけのことしか考えてなかったんですけど、そこに薬剤部でこういうことをやりました。
で、これをやったらやっぱり看護部とか色んなところに発信をしてかないと、いきなり今までと違ったものが届いたとかいうことになったら困るので、そういう「薬剤部の中だけじゃなくて、病院内で活躍する」っていうのが
プラスアルファの部分になるのかなって感じはしますね。
そうすると色々他職種でのつながりが増えて、逆に働きやすく。薬剤部の中でもそうですし、薬剤部の外でも「薬剤のことだったらあの人に言っとけば問題ない、何かやってくれるよね」みたいな。そういう感じで仕事がどんどんどんどん舞い込んでくるみたいな感じだと思います。
もし今の時代の薬剤師1年目に生まれ変わったら、どんなキャリアを築きたいと思いますか?
私が若いときは、そんなキャリアなんて考えたこともなかったんですよね。与えられた仕事をただ黙々とやっただけで、目標っていうものがなかったんですよね。
なので今考えると、ただ薬剤師になるだけではなくて、その薬剤師の中での専門資格っていうのが今はできてるんですね。昔はなかったんですけれども。
褥瘡とかの専門薬剤師とか、精神神経領域の専門薬剤師とか、そういう資格が増えてきて。がん専門薬剤師とか。
そういう専門性を磨くっていう、資格があると目標になって頑張れるかなって感じはしますね
管理職になって一番大変だったエピソードを教えてください
数年前でしょうか。コロナの職域接種って聞いたことあるんじゃないかと思いますけども。
それで薬剤部がワクチンを当院の職員全体に投与をするっていうような業務があったんですね。
で、そのワクチンは国から供給されるものだから厳密に扱わなくちゃいけないところを、1本どこか行っちゃったんですよね。わからなくなっちゃった。
その当時の病院長にかなり怒られたり、それを探すのにも事務員の方にかなり迷惑をかけちゃったりして、挨拶回りに。お菓子持って挨拶回りに、その関わった人にご挨拶したっていうのは大変だったですかね。
ハプニング対応係みたいなものです。
なかなかハードなハプニングですけど(笑)
労働時間がびっくりするぐらい長いと思うのですが、そこまで働くモチベーションであったり原動力は何かありますか?
どうだろう。モチベーション…。
昔は他人に迷惑をかけちゃいけないっていうのが1つのモチベーションに近いですかね。特に出世しようとか、そういう気持ち一切なく、他人に迷惑かけちゃいけないっていうので頑張ってましたね。
先程もちょっと言ったのですけれども、薬剤部って病院の一角にあるみたいな感じだったんですけれども、それを看護部とか医師っていうのは昔から一緒に仕事してたんですけど、薬剤師が一緒に仕事し出すっていうのは、まだまだ歴史が浅いんですよね。
なので、もう医師・看護師・薬剤師とセットになって、皆さん。患者さんもそうですし、院内でもセットで考えてもらえるような薬剤部に少しずつなってきてるっていうのがモチベーションになってますかね。
転職をしようと思わなかった理由はありますか?
実は二回考えた事があります。
一回目は一番すごい忙しい時期に、このままでほんとにいいのかなっていうような形で転職を考えて、一度近くの中小病院に電話したことあるんですよね。
そしたら逆にそこの人に、「大病院でそれだけやっててうちに来たら、暇で何もやることないよ」みたいなことを言われて、暇もつらいんだっていうのをそこで初めて知ったんですよね。
次は40代ぐらいで管理職になったときに、他の病院の今度薬剤部長に誘われたんですよね。
その時は良い話だなって思たんですが、ちょっと田舎だったのもあり諦めました。子供も中高生ぐらいだったので、引っ越しするのははばかられましたね。
具体的にどんな薬剤師を目指すのがいい?
今後の薬剤師人生に不安がある人達にアドバイスがあれば教えて下さい
やはり本業。
副業はやっちゃダメっていうわけじゃないんですけど、本業で飛び抜けていくと、つまり先程言った専門性とか、システムにすごい強いとか、そういう専門性に突き抜けると、また違った世界が見えてくるんですね。
これは、学会とかで講演とかをしてくれとか、そういう話が舞い込んできて、逆にこれが収入につながったりするんですよ。講演料とかももらえるんで。
なので自分の、何か薬剤師の中で得意な分野があったらそれをとことん突き止めて、もう第一人者みたいになると楽しくなる。忙しいのは忙しいですけど!
システムに強い薬剤師ってなんですか?
今、『医療DX』っていう言葉が結構世の中でも出てると思うんですけど、デジタルトランスレーション、何かに置き換わる。ってことですね。
今まで薬剤師が調剤してたそれを機械に置き換えるとか、もし服薬指導をしてたら、それはコンピュータにさせるわけにはいかないですけど、そこでまた既知として入力するんですよね。
それを自動で、口頭で言ったのを入力してくれたりとか、テンプレートがあったりとか、そういうシステムですね。
AIとかに強い人がいるとものすごく重宝されて、今後いいんじゃないかなって感じはしますね。
周りにそういうシステムに強い薬剤師います?
結構いらっしゃいますね。
私の場合は薬剤の流通関係なんですけどね。それをちょっと他の施設よりも進んで取り入れました。
今まで薬って賞味期限というか、有効期限が切れたら廃棄しなくちゃいけないみたいなのがあるんですけれども、しっかり温度管理や期限とか管理することによって、リサイクルができるみたいなイメージですかね。
不必要なものを浪費せずに適正量を納品して、病院の収益にも貢献するみたいな。そういうのをいち早く当院は導入したので、それに対する見学であったりとか、講演とかは依頼を受けたりしますね。
でも若手薬剤師がいきなりDXについて学ぶの難しいですよね?
それはそうですね。
なので薬局や病院単位で何かするってなった時に、一番頑張ったら良いと思います。
やっぱり業務と連携して何かプラスのことをやると、業務だからもうやらなくちゃいけないの自然に覚えざるを得ないですよね。
それがまた他の施設、薬局ではやってないことを自分の薬局が導入するのに自分が尽力したとなれば、「どういうふうにやったんですか?」とか他の薬剤師が聞きに来たりするんですね、学会発表とかすると。
そうすると、そこで名前が売れて、さらに講演依頼が来たりとか、色んな面でプラスになってくるんじゃないかなって思います。
部下を持つ立場になって新人の頃と変わった考え方などありますか?
昔はパワハラとかそういう概念がない時代だったんで、上司から言われ放題で仕事させられ放題、サービス残業は当たり前みたいな感じで働かされるような時代だったんですけど、
今はそういうことはできないので、新人とコミュニケーションをよく取って、新人が困ってることを手助けしたり、新人のやりたいように環境を整えるっていうのを考えなくちゃいけないなって思います。
昔の上司も考えてくれてはいたとは思いますけど、自分はもうちょっと昔の人よりはしっかりやらなくちゃいけないなとか、そういうのはありますかね。
もうちょっと新人の若い子の人たちの意見を聞いて繁栄させるっていう考えが、考え方が変わった感じですかね!
最後に若手にアドバイスください!
もし病院薬剤師の立場として若い子に言うとすると、今薬局薬剤師とドラッグストアになる方がすごい多いんですね。
病院薬剤師がすごく少なくなってるっていうか、伸びないんですよね。ドラッグストアや薬局薬剤師はの人数は右方上がりで伸びているにも関わらず、病院薬剤師はもうずっと伸び悩んでるんです。
だけども仕事っていうのは、病院薬剤師としてやってほしいっていう仕事は増えているのが現状なんですよね。
確かに最初給料は安いかもしれません。その代わり薬局は最初給料が高い代わりに伸びがないんですよね、だけど病院薬剤師の場合は伸びがある。
最終的には病院の規模が大きいほど多分年収は増えるとは思いますので、お金だけじゃないですけど、ほんとにそれがやりたいのか、自分の労力に見合った、もっと有能な人は、やっぱりそういう大きなところで頑張ってもらいたいなって感じはします。
僕は労力が見合ってないところに来ちゃってるんですけどね笑
楽にある程度の収入で、自分の好きな副業やって、合わせてこれぐらいあればいいっていうなら、またそれも一つの働き方だとは思うんですけれども。
「病院薬剤師は収入が少ないからやめよう」ってすぐに言うんじゃなくて、色んな出会いとか仕事がたくさんあるので、それを知ってからでも遅くはないかなっていう感じはしますよね。
とくに色んな職種がいるので、リハビリをやってる人とか、あとソーシャルワーカーとかの話も聞けたりしますし、医療の全体の流れがすごく見えてくると思います!
ぜひ、若い人には頑張って欲しいと思います。